■胃潰瘍はストレスよりピロリ菌が原因
今までストレスで起こる代表的な病気といわれてきました胃潰瘍、十二指腸潰瘍は、実はヘリコバクター・ピロリという細菌が主犯であることがはっきりしてきました。
現在では、「十二指腸潰瘍はほぼ100%、胃潰瘍も80~90%はピロリ菌が原因といわれています。日本人は50歳を過ぎると約80%の人がピロリ菌に感染していて、その中で約5%の人が潰瘍で苦しんでいます。
日本でもピロリ菌の除菌療法が平成12年より保険適応となっていますが、平成25年1月より、胃潰瘍の前段階である慢性胃炎も保険適応となりました。当院でも潰瘍や胃炎で苦しんでいる患者さんのために積極的にピロリ菌の除菌療法に取り組んでいます。ぜひご相談ください。
■わかってきた胃がんとピロリ菌との関係
1994年WHO(世界保健機構)は多数の疫学調査結果に基づいて、「ヘリコバクター・ピロリ菌は明らかに胃がんの発がん物質」と認定しました。
わが国の胃潰瘍、十二指腸潰瘍や胃炎などの患者さんを対象とした調査で、10年間で胃がんになった人の割合は、ピロリ菌に感染していない人では0%(280人中0人)、ピロリ菌に感染している人では2.9%(1246人中36人)であったと報告されています。
本当の胃がんになってしまったら、除菌治療をしてもがんをなおすことはできませんが、胃がんを予防するためには、除菌療法が重要と考えられます。